「一足お先の未来を体験」――MTM05終了!

最初に、(分かり難い場所にあった暗室内の)ブースに足を運んでいただいた方々、ありがとうございました!
両日とも印刷していたフライヤーを切らしてしまい、大変申し訳ありませんでした。フライヤーのファイル本体をこちら(詳細doc 560KB)とこちら(概略ppt 160KB)に置いておきます。


MTMへの出展は初めてで、色々至らなかった所もあると思いますが、多くの方に見て頂けて何よりの励みになりました。初めてだった一方で、元々の母校だったこともあって、工大祭の雰囲気を思い出して懐かしくなりました。思い出したところで、年齢は戻らないんですけどね(^^;;;


ブースでは、自らエア運転を行って「Project Qatal」をアピールしていたのですが、その姿を見て皆さん一様に驚かれていました。手に何も持たずに操作できる、というインターフェース自体、非常に衝撃的かつ魅力的だというのを肌で感じました。小さいお子さんにまでやっている事が通じたのは、本当に嬉しかったです。おそらくこの辺は、Wiiリモコンが先にあるおかげではないかなと。ちなみに、解説でWiiリモコンを話題に入れていたのですが、その知名度は100%でした。さすがというか、当然というか・・・。


一方で、今回何よりも驚いたのは、Project Natalの余りの知名度の低さです。ちゃんとカウントしておけばもっと有意義だったと後悔しているのですが、解説のときにProject Natalをご存知ですか?と最初に質問してみました。結果、数百人と顔を合わせた2日間通して、知名度は4〜5%行かないくらいだったのでは?と感じています。Make:のイベントという事から、そっち方面に明るい人もやや多いはずなのですが、それも考慮すると尚更低い気がします。女性に至っては、わずか2名に留まりました。一人は技術系ライター風味の方、もう一人はXBOX大好き!な方でした。Wiiリモコンとは比べるべくもありません。ううむ・・・


こういった空間インターフェース自体は、Natalが失敗する/しないに関わらず、そう遠くない未来にお茶の間に浸透するのでは?と、今回の展示を通じて思いました。それ程までに、実物の動作を見た方の反応は大きいものがあったかなと。同時に、問題はどうアピールするか?どういう用途に使うか?どう作りこむか?という所ですね。もちろん、今のProject Qatalの技術レベルでは、実用に程遠いのは言わずもがなですorz


#とりあえず次回の出展は未定ですが、面白い何かを思いついた暁には、また勢いに任せて作って出したいなと思っています(^^
#Project Qatalを拡張するのもありですが、未知の世界に足を踏み出すのも面白そうで・・・悩みどころです

「Project Qatal」とりあえず出展してみます

スクリーンショット

告知が直前になってしまいましたが、オライリー社が主催するものづくりイベント「Make: Tokyo Meeting 05」への出展を「あるしおうね」名義で行います。
コピペ+αですが、詳細は以下の通りです。


開催日:2010年5月22日(土)、23日(日)
時間:22日 11:00 - 18:00、23日 10:00 - 17:00
会場:東京工業大学 大岡山キャンパス(東京都目黒区大岡山2-12-1)
※Project Qatalは西9号館コラボレーションルーム(暗室)で展示します
入場:無料
交通:東急大井町線目黒線大岡山駅」徒歩1分


キャンパス地図はこちらのPDFにあります。ご参照ください。


展示する「Project Qatal」は一応照明下でも動作するのですが、ちょっと暗いほうが安心かなということで暗室での展示を選択しました。逆に暗すぎてろくに見えなくなるんじゃないかと心配ですorz
今回、出展に向けて何か新しいものを追加しようかと思っていましたが、作者のパワー不足で叶いませんでしたorz その代わり、少しだけProject Qatal自体のチューニング(主に高速化)と、レースゲームの見栄えを直しています。特に、メーター表示類は致命的に見難かったので、ゲーム本体に直接組み込みました(上スクリーンショット参照)。現在、超適当に作ったATトランスミッションが操作性を悪くしているので、こちらをチューニングしています。何とか一見さんが動かせるレベルになるといいのですが・・・。


#完成度はともかくとして、Project Natalのようなもの、を実際に体験してもらえるいい機会なので、お暇な方は是非お立ち寄りください(^^
#小難しいことはいいからとりあえず体験したい人、技術的に深度センサーからジェスチャー認識まで語り合いたい人、どちらも歓迎します!

身振り手振り入力システム「Project Qatal」応用してみました――とりあえずレースゲームへ

先日の日記から二週間ほどですが、ようやく「Project Qatal」を応用したものを形に出来ました。というより、形にしたところで力尽きた、というほうが正しいですがorz


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初見の方向けに紹介すると、XBox360向けの新型デバイスProject Natal」同様に、手の動きだけでゲームを操作できるシステムを作ってみました。
今回は、レースゲームで、身体の前に構えた両手の位置を認識して、ハンドルのように操作できるようにしています。なお、本家のProject Natalと比べてカメラの視野が非常に狭いため、足の動きは同時に撮ることが出来ていません。そのため、アクセル・ブレーキも手の前後で行わせています。

作ってみて&使ってみて実感したことをいくつかつらつらと・・・

  • テレビが遠い

この種のシステムは、最低でも30型以上のテレビがある家庭向けですねorz 実は、日本におけるProject Natal普及の最大のネックになるんじゃないか?と他人事ながら心配になります。

  • 手を一定の場所に行ったり戻したりするには慣れが必要

当たり前ですが、人はこういった動作を日常的にはやっていません。何も反応が返ってこない空中の一点を正確に指し示せるほど、人は精密に出来てないということですね。この辺も考慮したゲーム作りが必要になりそうです。

  • エア○○?

これも当たり前かつ、皆さんがコメントで述べられていることですが、本格的なレースゲームをしたければ、専用のハンドルコントローラーを使ったほうがずっとストレスなく楽しめます。一方で、手を前に出すだけで運転できる、というエア○○的な楽しさも間違いなくあるので、楽しめるとするならば、そっちの方向で作りこむと面白いのかなと。とりあえずエアギターゲーム、とか(超ありがち)

  • 両手の動きだけで出来ることは、意外に限られる?

Project Qatalは、視野の狭さと開発者の能力の関係(^^;;;から、手前の両手2点だけの動きを見るように作っていますが、これだけでゲームが作れるか?となると結構なアイディアを練る必要がありそうです。本物のProject Natalでは、指の動きもちゃんと認識してくれる、という話ではありますが・・・。近い用途のPlaystation moveでは、ボクシングゲームをデモンストレーションしてましたが、あれもすぐ考え付く以上の代物ではない気がします。自分で作っておいてなんですが、技術だけではゲームは面白くならない、ということですね。当たり前ですが(^^;;
ただ、一方でゲームが技術によって進歩してきたのも間違いないと思うので、個人的にはProject Natalみたいな新技術は歓迎したいところです。


#なお、今回開発した深度センサーのアルゴリズム(実装はOpenCVを補助とした完全な自前ですが、既存論文の手法を使用しています)
#と、プロジェクターの投影性能の制限から、Project Natalのような全身モーションキャプチャへの挑戦は相当の壁がありそうです。
#今回もかなり無理をしたとはいえ、趣味の範囲で物を作るのは、難しいものですねorz

"Project Qatal" 技術はまず模倣から――Project Natalを真似してみる

「俺はまだ本気出してない」みたいな感じに、プライベートで無為な時間を過ごすのもどうかと思い始めたので、趣味と実益を兼ねて、何か目標を定めて物作りにチャレンジしてみることにしました。その対象は「Project Natal」。Microsoft社が、現在総力を挙げて開発を行っている、XBox360向け入力デバイスです。簡単に言うと、Wiiリモコンのようなコントローラすら一切手に持たずに、身振り手振りだけでゲームの操作が行える、という夢のような代物です。


もちろん、幾多の優秀な開発者が取り組んでいるものなので、個人ではとても太刀打ちできたものではありません。が、本気でやるなら目標は高く果てしない方がいい。というわけで、まずは手を動かして作ってみました。とりあえずこんな感じです。


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さすがに、本家には性能の点で足元にも及びませんが、一応基本原理の深度センサーについては、機能的に同じものが作れています(^^
動画の解説は自分でも全然足りないと思うのですが、技術の詳細(特に深度センサーの開発部分)について短く簡潔に伝えきれないので、
大幅に端折ってますorz 単なる空中マウスだとあまりに地味すぎるので、ゲームにも応用しようと、現在鋭意開発継続中です。
本家が6月に詳細な発売日時を決定するらしいので、それまでにもうちょっと色々動かせるように、本気で「遊んで」みようと思います(^^;;
いずれ、本家とは別の道を見出せれば、それはそれで楽しいことになりそうです。


#メカ講座も、また一段落したときにでも更新する予定です(いつだ)

人生迷い道

かつて、孔子が「30にして立つ」と言いましたが、この歳になってもなかなか立てません。
自分の屋台骨と言うのがまだ出来ていないのか、と思い悩む今日この頃です。

#もっとも、「40にして惑わず」と言うので、逆に言うと40までは惑うものなのかもしれませんね(^^;;

読んでも絶対に役に立たないメカ講座<その5>――ホバークラフト1:その概要

同年代以上の人(30代前後)であれば、比較的名前は広く知られているホバークラフト。自分も幼い頃、学研の図鑑「自動車・船」で、水中翼船とともに高速航行で名を馳せるその姿を見て、いつか実物を見てみたいと思ったものです。


高度経済成長期真っ只中だった30〜40年前、十分な道路網・航空網が整備されてなかったこともあり、離れた島(四国含)への往来には、まだまだ連絡船が主流を占めていました。頻繁に行き来するなら、できれば足の速い船がほしい。さらに、人口の少ない離島では十分な港湾設備が整備できないという問題点があり、そこで白羽の矢が立てられたのが「水陸両用」のホバークラフトだったようです。水中翼船も足の速さは同様ですが、当時の水中翼船は固定式の水中翼を備えており、十分な(もしくはそれ以上の深さの)浚渫(しゅんせつ)を行った港湾設備がないと接岸できない、という問題がありました。


このホバークラフト、日本で始めて導入されたのは1967年。熊本は天草にて、有名な「天草五橋」がまだ無かった時代の連絡線として使われたのだそうです。ちなみに、イギリスで実用化の目処をつけたのは1959年。わずかその間8年で、イギリスから技術導入を受けた上で国産化し、さらに商用化したことになります。当時の勢いを感じますね・・・。とはいえ、ホバークラフト自体の仕組みは以下のように非常に単純です。

  1. 地面(水面)と船体との間をゴムスカートで覆い、その中に空気を吹き込む。空気は地面(水面)とゴムスカートの隙間から逃げていく。結果、ほんのちょっとだけ船体が浮き上がる
  2. 浮き上がったら摩擦はほとんど無いに等しいので、プロペラなりスクリューなりで推進して進む


何しろ、発明したChristopher Cockerell卿自身、穴を開けた空き缶にヘヤドライヤーを突っ込んで空気を吹き込んでみて、「これは行ける!」と確信したらしいので、適当な工作でもそれなりに動くことは動くようです(^^;; ともあれ実用化の為の試行錯誤の中で、地上・水上における凹凸に対応するために生まれたのが件の「ゴムスカート」と、Cockerell卿が発明した、空気圧で効果的に船体を押し上げる「モーメントカーテン機構」です。大仰な名前ですが、装置としては何のことは無く、ゴムスカートの中に隙間を埋める詰め物をするだけ、というシンプルイズベストな発明です。これらが決め手になって、実用化まで持って行けたのだとか。最初の試験機「SR-N1」は、見るからにゴムスカートとプロペラのお化けで、申し訳程度に運転席がついてます。こんな小型艇で荒海のドーバー海峡横断を2時間で成功させ、世間を驚かせたそうです。その性能に驚いたのか、勇気に驚いたのかは知る由も無いですが(^^;;;


話を戻して日本では、その後三井造船の手により、「MV-PP5」が開発されました。記録をさかのぼると、1971年頃からの登場のようです。自分も含め、図鑑で見たホバークラフトというのはほぼ間違いなくこれだったはずです。MV-PP5は(比較的)数多く生産されて、宇高連絡船名鉄観光船、大分空港船、鹿児島空港船、大阪−徳島船、八重山観光船、etc...と各所で運行され、まさに全盛期を支えた存在だったようです。
が、1980年代に入ってから、瀬戸大橋を初めとした各道路網、地方空港の整備が進み、連絡船自体の需要が徐々に減少するようになりました。港湾設備が不要といわれたホバークラフトも、実際には頻繁な整備と、その整備を受け持つホバークラフト専用の陸上設備が必要で、普通の船と比べても高くつく存在だったようで、徐々にその数を減らしていきました。


そして、つい先日まで最後に唯一残っていたのが、大分市―大分空港間の高速連絡船「大分ホバーフェリー」でした。ここは陸上にある空港のロビーに直接乗り付けるため、比較的長い陸路を走る必要があり、ホバークラフトがどうしても必要だった路線で、今日まで残っていたのだそうです。この陸路はS字カーブになっており、巨大ホバークラフトのドリフトとして有名になった場所でもあります(^^;; しかしここも、大分駅からのアクセスがネック&陸上道路整備による競争力低下により、経営悪化で昨日2009年10月31日をもって、休止(事実上の廃止)になりました。子供の頃から知っていた、夢のある乗り物だっただけに残念でなりません。これをもって、日本国内におけるホバークラフトの民間運用は完全に終了したことになります。


実は今年の夏休み、幸か不幸か、この廃止を知る由も無い頃ですが、里帰りがてらこのホバークラフトに体験搭乗してきました。次回は上に書いたドリフトを含む写真と、その神業的操縦について語っていく予定です。


#趣味丸出したと、図もろくに無いのにどうしても長文になりますね。ごめんなさいorz
#後でいろいろ追加するかも。

書こうと思った矢先に

久しぶりに日記を書こうと思ったネタの対象が、ブルートレインよろしくまたも引退することになってしまいましたorz 寂しい話ですが、折角なのでかつて日本にもこんな乗り物もあったんだよ的な記念として、何度かに分けて記事を書いてみようかなと。