アメリカGPやってますね

セナが元気な80年代末から90年代半ばにかけて、F-1を深夜こっそり隠れてみたことを思い出します。良く思い出は美化されるとは言いますが、自分はあの頃にあった「F-1サーカス」がとても好きでした。日本の景気とは関係ないですが、バブリーに最新鋭のシステムを搭載し、それに負けず劣らずセナを始めとして、ピケ、マンセル、プロスト、パトレーゼ、ヒル等のスタードライバー。特定のチームが常勝するという弊害はありましたが、当時のルールはマシンとドライバーのサーカス的美技が存分に楽しめました。基本的に、タイヤ交換時以外では自分の腕で抜くしかなく、コーナーでのオーバーテイクは手に汗握って見ていました。


が、給油ルールが始まり、ピットストップを重視して1位を目指す戦い方が始まりました。シューマッハが94年あたりに3ストップ作戦という常識はずれの戦い方で優勝を勝ち取ったのが印象的です。危険な直接オーバーテイクより、ピットストップ時間も含めた総合差で1位を取るほうがリスクが少ない。勝ちを目指すプロならば当然の態度です。


最近は、予選−本選間にマシン整備を禁止する等して、シューマッハのポールトゥウィンを阻止しようと頑張っているようですが、元々戦略的に勝つシューマッハに、ルールで挑んでも無駄だと思うのです。マシンも年々格好悪くなり、近年はついぞ縁遠くなっていました。


ところが、今日のアメリカGPでは、佐藤琢磨が怒涛のオーバーテイクを見せています。これは純粋に素晴らしい。しかし、シューマッハの戦略的なアドバンテージは明らかです。願わくば、彼の努力が報われることを祈ります(現在残り32周、4位)。観客をサーカス的な「技」で魅せてくれるF-1は戻ってくれるのでしょうか。